忍者ブログ
日々の出来事、観た映画、聴いた音楽、読んだ本、撮った写真。
2025-051 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 prev 04 next 06
1  2 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

硫黄島からの手紙
Letters From Iwo Jima

監督:クリント・イーストウッド
脚本:アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス
撮影:トム・スターン
編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
音楽:クリント・イーストウッド
出演:
渡辺謙、二宮和也
伊原剛志、加瀬亮
中村獅童、裕木奈江

http://iwojimathemovie.warnerbros.com/
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
amazon.co.jp

こんな映画を、日本人が作れないものかなぁ~。
と、エラそうなことを考えてしまったほど、
戦勝国から見た偏見や、敗戦国から見た劣等感など
下世話な感情が一切入っていない、すばらしい作品でした。

この場合の「すばらしい」とは、戦争の悲惨さがビシビシと
伝わってきた、という意味ですが。

公開2週目の週末、年齢層が若干高めな観客のみなさんと
いっしょに観ましたけど、となりに座ってたおっさんも
体の前でガッシリと腕組みしたまま、微動だにしてませんでした。
その気持ち、わかるぅ~!
こんな現実を目の前にしたら、動けませんよねぇ~。
それが中国でもなく、フランスでもなく、ドイツでもなく、
この日本国内で日本人が体験したことだと思うと、なおさら!

まぁ、とにかく、出演者のほとんどが日本人。
舞台も日本。しゃべる言葉も日本語。
なのに、スタッフはほとんどガイジン。

という、不思議な立ち位置にいる映画なのですが、
見事なまでの「日本映画」でした。
まぁ、よくもここまで「淡々と」描けるものだ、と思います。
あんな壮絶な状況を、こうも淡々と描くことができるというのは
とてつもないことだと思うんです。それは、ひとえに「戦争が
どういうものなのかということを、製作者たちがわかってる」
からなんでしょうね。そうじゃなかったら、自分たちの無知を
ごまかすために、いろんな装飾を施すでしょうから。
激しいアクションとか、湿ったお涙ちょうだいシーンだとか、
誰かをヒーローに仕立て上げるとか、妙に政治的な描写をするとか。

そんな逃げは、この映画にはない!
製作者が逃げないということは、演技者たちはもっと逃げ場がない!
でも、演技者たちもその要求に見事に応えていましたよ。
特に二宮くんの自然体な演技は、なかなかのものでした。

『父親たちの星条旗』よりも良かったと思います!

-----

こういう映画を観ると、考えさせられます。
もし自分が戦争に駆り出されたときのことを考えさせられます。
(そして間違いなく死んでしまうことも…)
日本人が危険な方向へ走っていた時代と、今を、シンクロさせて
考えてしまいます。
考えても考えても、答えなんか出てこないんですけど、
それでもやっぱりコワイです。泣きそうです。

lettersfromiwojima.JPG
PR

トゥモロー・ワールド
Children Of Men

監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:P・D・ジェイムズ
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ティモシー・J・セクストン
撮影:エマニュエル・ルベッキ
編集:アレックス・ロドリゲス、アルフォンソ・キュアロン
音楽:ジョン・タヴナー
出演:
クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア
マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー
チャーリー・ハナム、クレア=ホープ・アシティ

公式サイト(US)
公式サイト(JP)

「冬休み映画が公開される前」という、注目を浴びにくい
タイミングでの公開となった、この作品。
(アメリカではクリスマス公開という絶好のタイミングなのに!)
平日の夜に観に行ったんですが、オレ含めて観客3名…。

ここまで注目度が低いとは思えないほど、充実した作品でした!
うわー、もったいねー!!

[物語]
舞台は2027年のイギリス。人類には生殖能力がなくなり、
赤ん坊が産まれない世の中になってしまった。
そんな絶望的な状況の中、何の目的もなく働いていた
国家官僚のセオが、ある日突然、何者かによって拉致される。
セオを拉致したのはセオの元妻ジュリアンが率いる反政府組織で、
世界がひっくり返るような秘密をつかんでいた…。
(eiga.comさんより)

まぁー、すさまじかったですよ。
舞台は2027年とはいうものの、現代と置き換えてもさほど
変わらないんじゃないかと思わせる設定でした。
今の世の中もね、殺伐としてますからね~。
子供ができない→未来がない→自暴自棄になる→心が荒廃する
→犯罪が増える→理想郷を求めて逃げる→宗教に走る→
テロが増える→政治は力で押さえ込もうとする→反発する人あり、
あきらめる(自殺する)人あり

「子供ができない」以外は、今でも通じるところがあると思いません?

なんつうか、負の連鎖とでも言いましょうか、そういう悪~い空気が
漂うなか、主人公のセオは、あるひとつの小さな希望を見つけ、
それを守るために戦うわけなんですよ。でね、彼と、彼が守ろうと
した「希望」を見てると、「絶望の中に咲く一輪の花がこれほどまでに
美しいのか!」と感動せずにはいられませんでした。
それほどまでに、この「希望」というのは尊いものなんですよね、
オレたちにとって、人類にとって。

「戦争のバカバカしさ」と「命の尊さ」を、ここまで鮮明に描いてる
んだから、すごい映画ですよ、ほんと!
特に臨場感あふれるカメラワークがとんでもなかったです。

ゆれる

監督:西川美和
脚本:西川美和
撮影:高瀬比呂志
編集:宮島竜治
音楽:カリフラワーズ
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、
新井浩文、真木よう子、木村祐一、
ピエール瀧、田山涼成、河原さぶ、
キタキマユ、田口トモロヲ、蟹江敬三
http://www.yureru.com/
amazon.co.jp

ゆれて、ゆれて、ゆれまくりました。 ★★★★★

オダギリジョーが演じる弟の猛は、故郷を離れ、
東京でカメラマンとして成功。一方、香川照之の兄・稔は
実家のガソリンスタンドを継いでいる。
母の一周忌に 帰った猛だが、稔、幼なじみの智恵子と
出かけた渓谷で、智恵子が吊り橋から転落死してしまう。
殺人容疑をかけられた兄と、彼の無実を信じる弟の関係が
と きにスリリングに、ときに不可解に、さらに衝撃と感動を
行き来し、タイトルが示すように“ゆれながら”展開する
骨太なドラマ。(以上amazonさんより)

要するに、「辛うじて成り立っていた兄弟関係がいかにして
崩れていくか」というのがメインテーマになった映画です。

オレも2人兄弟の弟なんですけれども、この映画の設定が
いちいちすべてドンピシャ当てはまってるような気がして、
まるで映画を観てる気がしませんでしたよ、ほんとに。

なんか、めちゃめちゃこわかった…。
どこぞのホラー映画観るよりも、よっぽどこわかったです…。

ま、オレなんかが「ドンピシャだ!」と思うような設定ですから、
(もちろん殺人は犯してませんが!)サスペンスドラマとしては
ありがちな展開なのかもしれません。単純だし。
でもね、そんな単純な物語なのに、上映時間2時間が
すっごく濃厚だったんですよ。これはすげぇなぁと思います。
西川美和監督の洞察力、構成力のたまものなんだろうなぁと
感心しきりでしたね。末恐ろしくなりました。
で、また、主演の2人の存在感がすごいのよ!
オダギリジョーくんの映画は、ほとんど観たことがなかったんだけど、
ここでの演技はすっばらしかった。アカデミー賞級でした。
そして、兄を演じた香川さんは、もうアカデミー賞確定でしょ!?
とまで言い切りたくなる壮絶な入り込み方で、兄貴の持ってた
情念、怨念、嫉妬、人間の裏の感情がじわじわとにじみ出てくる
感じが、とんでもない空気を漂わせていました。

と、今となってはこうして文字を打ち込めるまでに回復しましたが、
観終わった直後はもうゲッソリしちゃって言葉も発することができない
有り様だったオレです。完全降伏…。

yureru.JPG
サンキュー・スモーキング
Thank You For Smoking

監督:ジェイソン・ライトマン
原作:クリストファー・バックリー
脚本:ジェイソン・ライトマン
撮影:ジェームズ・ウィテカー
音楽:ロルフ・ケント
出演:アーロン・エッカート、マリア・ベロ、
キャメロン・ブライト、アダム・ブロディ、
サム・エリオット、ケイティ・ホームズ、
ロブ・ロウ、ウィリアム・H・メイシー、
J・K・シモンズ、ロバート・デュヴァル、
デヴィッド・コークナー、トッド・ルイーゾ

公式サイト(US)
公式サイト(JP)
amazon.co.jp

「表」と「裏」のあいだに、「真実」がある? ★★★★

禁煙が当然となったアメリカで、タバコ産業のために持ち前の弁術を駆使する
ロビイストの苦闘を追ったシニカルなドラマ。(amazonさんより)

いやぁ、なんとも愉快痛快な映画でした!

この映画の監督、ジェイソン・ライトマンさんってのは
『ゴーストバスターズ』の監督でおなじみ、アイヴァン・ライトマンの息子だ
ってんだから、すでに「父を超えた」んじゃないかと思わせる出来栄えです。
『ライフ・アクアティック』と『サイドウェイ』と『アバウト・ア・ボーイ』の
いいとこ取りをしたような、「映像が楽しくて・セリフが楽しくて・皮肉が効いてて・
でも誠実」みたいな感じでしたわ。その「皮肉っぽさ」がキツすぎず、
ユーモアとしてうまく変換できていた、アーロン・エッカートを始めとした
俳優陣も良かったです。(特に子役のキャメロン君、大健闘!)

オレ自身、タバコは吸いませんし、
タバコを吸ってる人のそばにはあまり近寄りたくありませんし、
タバコなんか世の中になくても全然かまわない、と思っています。
でも、世の中には、タバコが好きな人、やめられない人が
たくさんいることもわかるし、それならそれで、他人に迷惑さえかけなければ
どうぞご自由に(早死にでもなんでもしてちょーだい!)と思ってる派です。

でも、まぁ、実際、この映画の中で主人公が言ってることが
本当なのかなぁと思いますよ。
「吸うか吸わないかは、本人の自由だ」(ただし未成年者はダメ)とね。
タバコを吸う人だって、たいがいわかってると思うんですよ。
タバコが健康に悪いことぐらいはね。
それでも吸いたい人は吸うんでしょう。
自分の健康を害し、家族の健康を害し、自分のお小遣いを減らしてでも
「ストレスの発散」のために吸う。それなら仕方ないっすね、ほんと。

と、タバコの話になると、どうしても皮肉っぽくなってしまうのは
この映画の影響なのかどうか…(たぶん違います)。
ま、とにかく、この世の中にはいろんな「表と裏」があるんだな、と
思いますよ。毎日のニュースで流れてるおエライさんの醜態や
殺人やイジメや増税やメジャー移籍や、いろーんな出来事が
ありますけど、じゃあ、そのニュースのなにが「真実」なのか?
それを知るには、まず「柔軟な発想」が必要になるんですかね!?

p.s.
そういえば、劇中"デカパイを持つセクシー新聞記者"として
登場したケイティ・ホームズ(現在トム・クルーズの愛妻)が
その"デカパイ"を披露していたはずなのに、実際それを拝むことは
できませんでした。これがこの作品の唯一の欠点ではないか、
と思っているんですが、そんなことをわが新妻に言ったら
ぶっ殺されてしまうので、どうかナイショにしておいてください…。

thankyouforsmoking.JPG

カポーティ
Capote

監督:ベネット・ミラー
原作:ジェラルド・クラーク
脚本:ダン・ファターマン
撮影:アダム・キンメル
編集:クリストファー・テレフセン
音楽:マイケル・ダンナ
出演:
フィリップ・シーモア・ホフマン、キャサリン・キーナー
クリフトン・コリンズ・Jr、クリス・クーパー
ブルース・グリーンウッド、ボブ・バラバン

公式サイト(US)
公式サイト(JP)
amazon.co.jp
◎第78回アカデミー賞主演男優賞受賞

あっさりとして、かつ濃密な一作 ★★★★

有名なアメリカ人作家、トルーマン・カポーティが
大ベストセラーとなった小説『冷血』を書き上げるまでの物語。
カポーティ役に完全になりきって演じているのは、
これまで数々の名作で脇役を張ってきた、P・S・ホフマン。

わたくしも、こうして人間業を32年もやってきましたので
「人間」というものの性質が少しはわかっているつもりです。
世の中には「善い人」「悪い人」「頭のいい人」「頭の悪い人」
などなど、いろんなレッテルを貼られた人がたくさんいますが、
たとえば「善い人」の外見も中身もすべてが「善」かというと
そうじゃない場合が多いだろうということも推測できたりします。
たとえば、仕事場ではマジメそうに働いてても、
いざ家に帰ってみると、一晩中猫ひろしのマネをして
同居人をあきれさせるような人間もいますし(オレのことだ…)、
学歴は「大卒」であるものの、実際、何の知識も身につけられ
なかったために、実は「バカ」だという人もいるのです。
(またオレのことだ…)

要するに、誰しも多面性を持って生きている、ってこと。
 
冷血な殺人鬼に取り入って、さまざまな取材をし、
自分の創作活動に利用するだけ利用して書いた本が『冷血』。
そんな偽善者・カポーティこそが冷血じゃねーか!的な見方。

殺人鬼と自らの境遇に、根本的な一致点を見出しながらも
「文才」によって辛うじて真っ当な暮らしを送ることができているという
善と悪とのあいだで紙一重な一面。

程度の差があるとはいえ、こういった、誰もが思い当たるであろう
二面性や矛盾、揺れ動く心の葛藤、真の冷血とは?みたいな命題を
一見あっさりと、でも実は深く鋭く濃密に描いた、この作品。
とても新人監督が仕上げたとは思えません!
そして、そんな複雑な役柄を完全無欠に演じきったホフマンに拍手。
この人は、やっぱりただのデブじゃなかった!

capote.JPG

カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
[08/23 hama]
[07/24 rie]
[07/22 kozue]
[07/21 yoko]
[07/20 tashi]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ketsu
HP:
性別:
男性
趣味:
映画鑑賞、音楽鑑賞
自己紹介:
芸術的な才能がまったくないので、ほかの人が作った素晴らしい作品を見て感動してばかり。そんな思いを書き連ねていきます。自らのつまらない日常も含めて。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
"ketsu" wrote all articles.
Produced by shinobi.jp@samurai factory inc.
忍者ブログ [PR]